恐怖の音
大多数の人が嫌っていても『私は好きだよ』という方は何%かいらっしゃると思いますが、
【歯医者】が大好きという方を見つけるのは、なかなか難しい気がしますね。
実際に治療してもらう時はもちろんの事、
待合室で待っている時から、恐怖感が募ってくる方も多いでしょうね。
歯医者さんに新しく導入された医療機材を運んでた業者の方が、
手を滑らせて足の上にその箱を落としてしまいましてね。
結構重い物なので、思わず『ギャ~!!』という叫び声を上げてしまったら、
待合室にいた患者さんが、みんな帰ってしまったって話がありましてね・・・
やはり診察室の中から聞こえてくる音は、とても気になるものですよね。
そもそも怖さを増幅させる元凶というのが、【歯を削る器具の音】ですよね。
あの器具、名前を【エアタービン】というそうですが、
『ヒュイ~ン!』という独特の音がしますよね。
「俺さ、あの歯を削る機械の音が大嫌いでさ。
お陰でジェット機が飛び立つ音を聞いただけで、歯が痛くなっちゃうんだよ」
確かに、ちょっと似てますよね。
あれは音を変えた方がいいですよね。
機械が作動すると、アンパンマンの曲が流れたりすれば、
子供さんなんかは少しはリラックスできるかもしれませんね。
「そうか・・・私は西野カナちゃんのファンだから、
機械が作動するとカナちゃんの曲が流れるようにしてみよう」
なんてんで、ある歯医者の院長先生が試みたんですけど、患者さんから大不評でしてね。
というのも、彼女のヒット曲が流れるたびに、
『♪あ、痛くて、あ、痛くて、震える~』
・・・余計に痛さが増してきちゃったって話がありましてね。
同じ歯医者さんでも、優しい先生に診てもらいたいというのが人情ですよね。
「これから治療しますから、痛かったら『痛い』と言ってくださいね~」
なんてな事を笑顔で言われると安心しますよ。途中で痛くなったもんですから、
「先生、痛いです」って言ったら、
「そうでしょうね」
と言われて終わりだったらしいですけど・・・何の解決策にもなってないですよね。
診察台に上がると緊張してしまう方は多いでしょうが、
歯医者の苦手な中年女性の患者が緊張しながら診療台に腰かけると、歯科助手の方から
「口笛を吹いてください」
と言われましてね。
妙な指示をされるもんだな~と思いつつも、
緊張を和らげるために口笛を吹かせるんだろうと思ってると、
「・・・あの~、何をされてるんでしょうか?」
「え?今、口笛を吹いてくださいと仰いましたよね?」
「いえ、口紅を拭いてください」
間違いが起こる時というのは、こういうものですよね。
ただ歯医者さんでも、ごくまれに良い事というのもあったりします。
男性の患者の場合は、綺麗な歯科助手さんが治療されてる時に胸が当たったりすると、
ちょっと嬉しかったりして、暫し痛さを忘れるなんて事がありますよ。
治療が終わって料金を払おうとしたら、やたら高かったものですから明細を見たら
【サービス料】が上乗せされてたって話がありましてね・・・
歯医者さんも、そうやって貪欲に商売していく世の中になったんでしょうね。
微笑亭さん太