毒食らわばフグまで
我々日本人が普通に食べているお刺身も、
生魚を食べる習慣のない国からしてみたら、
ゲテモノ料理に近いものはあるんでしょうね。
最も日本人にしてみても、
『ちょっと魚を生で食べてみようぜ』と言い出した人というのは、
チャレンジャーに思える気がします。
【フグ】に至っては、特にそうです。
食べられる部分、食べられない部分の
境界線が確定するまでに、何人の犠牲者が出た事か、
想像するだけで背筋が寒くなりますよね。
普通、毒のある生き物というのは、毒がある事によって
外敵に食べられないよう牽制するためなわけですが、
ことフグに関しては全く役に立ってないそうですね。
というのもフグの場合、猛毒ですから、
食べれば相手は死んでしまいます。
従って【あいつ食べるとヤバいよ】という経験が蓄積されず、
よく捕食されては捕食した相手共々
命を落としてるんですね。
フグが危険と知ってるのは、人間くらいという事ですね。
人間が普通に食べている物も、
よくよく考えてみればゲテモノに近い物は沢山ありますよね。
【タコ】とか【ナマコ】、
【ウニ】なんてのは、ビジュアルだけでNGですよね。
【イナゴ】なんて、よく佃煮にしようなんて発想が
浮かぶものだと思います。
『美味しい、美味しい』とイナゴを食べる一方で、
買った食品の中に『虫が入ってた』と
騒ぎ立てる人間というのは、実に矛盾した存在なのかもしれません。
今は海外にも和食のお店がどんどん進出して、
外国でも日本の味が楽しめるというのは便利ですよね。
「お前は随分海外に行ってるから、
海外で和食の店に入った事もあるんじゃないの?」
「うん、何回も入ってるよ。
ラスベガスで【蕎麦屋】に入った事があるけど、
結構美味しかったよ。
やっぱり【かけ】で食べてるだけの事はあるね」
「なるほど。フランスにも行った事あるんだろ?」
「フランスでは【鰻屋】に入ったんだけど、
入ってったら店員が
『ウナジュ~ル』って挨拶してきたから驚いたよ。
しかも出てきた鰻が干乾びててさ【パリパリ】だったよ」
「それは嫌だね~」
「アフリカに行った時には【雑煮】を食べたよ」
「あんな暑いところで餅を食べたのかい?」
「いや、餅じゃなくて【ゾウ】が入ってた」
「本物のゾウが!?凄いね、それは」
「中国では【甘味処】に入ったんだけど、
店員さんがオーダーを運んでくるルートの事を
【シルコロード】と呼んでたよ」
「あ~なるほど。壮大な歴史のロマンを感じるね」
「でも一番驚いたのは、
モンゴルで【ちゃんこ鍋屋】に入った時だね」
「どうして?」
「ちゃんこ鍋も、モンゴルの方がうまくなってたよ」
料理も相撲も、日本人には頑張っていただきたいですね。
微笑亭さん太