音の無礼
記者たちが一生懸命手書きでメモを取っている様子が見られましたが、
最近はひたすら『カタカタカタカタ・・・』というキーボードを打つ音が響いてくる事が多いですよね。
取材メモも、手書きからパソコンへと確実に変わってきているわけですね。
それはマスコミ関係だけではなく、一般の企業にも、その波は押し寄せてますよね。
顧客との間で重要な話し合いなどがされている場合に、
パソコンでメモをしている光景も見かけるようになりました。
ただそのパソコンでメモを取る姿というのが、相手からどう見えているのかという事には、
なかなか考えが及ばないですよね。
ある若手社員が顧客と話をしている最中にパソコンでメモを取っていたら、後で上司に呼ばれて、
「お前ね、顧客の前でキーボードを打つんじゃないよ」
「えっ、どうしてですか?」
「相手の方が、気分を害するだろう」
なんてんで怒られたって話がありましてね。
パソコンの場合、キーボードを叩くとカタカタ音がしますし、
キーボードではないタブレットでも画面の方を見る事が多くなるので、
『相手の話を聞いていないという印象を与える』というのがその理由のようですね。
若手社員からしてみたら、手帳にメモを取る事と何が違うのかという反論もあるでしょうが、
これは【昭和生まれ】対【平成生まれ】の考え方対決みたいな様相もありますよね。
このように新しいツールが出てくると、
その使用方法について感情的な議論になるのは、よくある事です。
電子メールが普及し始めた1990年代には、
『重要な案件の場合には、メールと同時に電話をするべきか?』といった議論がありました。
最近でも『メールやラインで欠勤の連絡をするのがアリか?』だとか、
『スマホの写真機能でホワイトボードを撮影して、メモ代わりにする事は許されるのか?』といった議論が交わされたりします。
ビジネス上の振る舞いに絶対的なルールはありませんが、顧客の方が立場は上ですから、
キーボードの音で顧客の気分が害されると上司が判断したのであれば、
それに従うのが組織のルールという事になるんでしょうね。
確かに、これ見よがしに『カタカタカタカタ、ターーーーン!』なんてんで、
大きな音を立てる方もいますよね。
あの音が良くないというのであれば、キーボードを叩いた時に女の子の可愛いアニメ声で
『メモ!』なんて鳴るといいんじゃないですかね。
『カタカタ』という音よりは当たりが柔らかいんじゃないかと思いますけどね。
メモを取るたび『メモ!メモ!メモ!メモ!』なんて声が響くと、
今度はその音が気になって、相手の方が怒っちゃったりしましてね・・・
【メモる】 が【もめる】になってしまってはマズいですよね。
微笑亭さん太