知らないんですか?
その中でとりわけインパクトの強いのが【関西弁】でしょうね。
私は愛知県人ですから関西弁は全く話せませんが、
笑いを誘うという事に関しては、関西弁は優秀な言語だと思いますね。
同じ言葉や言い回しであっても、関西弁で言われると
つい笑ってしまうなんて事が多々ありますから、羨ましいですね。
『関西の人は東京に住んでも、絶対に関西弁を捨てない』などとよく言われますが、
東京人の中には関西弁に拒否反応を起こす方もいらっしゃるようですね。
関西人の方に「次、自分の番やで~」などと言われて待ってたら、
「はよせんかい」と急かされたなんて話があります。
この場合の【自分】というのは己の事ではなく
【あなた】という二人称のわけですね。
日本語において【自分】と言ったら一人称のはずですが、
関西弁だと違ってくるという、そういう煩わしさがイヤだという方がいるわけです。
そして関西弁には【魔法の言葉】というのが存在しましてね。
「駅前にうまい居酒屋ができたらしいで。・・・知らんけど」
「あ~それ聞いた事あるわ~。・・・知らんけど」
こんな感じで関西人の方が語尾につける【知らんけど】という言葉ですね。
関西人は【知らんけど】という言葉を、
『こういう話を聞いた事があるけど確証はない』というような意味にも、
『あくまでも個人の意見です』というような意味合いにも、
つい無意識に使ってしまうようですね。
これが、それまでに語られてきた内容の全てを
なかった事にする【魔法の言葉】というわけですね。
これを言われてしまうと、それまで親切丁寧に解説してくれた事や、
熱心に同意してくれた事も、最後に【知らんけど】と言われた事によって
『信じるか信じないかはあなた次第です』みたいな雰囲気になって、
すべてリセットされてしまいますよね。
「関西人って、最後に【知らんけど】って付けると、何でも許されると思ってるよね?」
「そんな事ないで~。・・・知らんけど」
これが正しい使い方なんでしょうね。
こんな便利な言葉なら、東京人の方も使うべきですよね。
「郵便局に行くんは、この道まっすぐでええのん?」
「ええ、まっすぐでいいと思いますよ。・・・知らんけど」
「知らん事ゆうな、ボケ!」
その上を行く返しがあるようですね。
「この間、関西人と喋ってる時、最後に『知らんけど』って付けたら
『知っとけや!』ってツッコまれたからな~。
やっぱり付け焼刃で使わない方がいいみたいだな」
「・・・なあなあ、部長の奥さんって、メチャメチャ綺麗らしいな」
「そうみたいだね~」
「見たんかい!」
結局【知らんけど】を言っても言わなくても、
関西人にツッコまれてしまう運命は、避けられないようですね。
微笑亭さん太