技を串する
幹事さんは少しでも費用を抑えようと
苦労されるんじゃないかと思います。
飲み屋で最初に出される
【お通し】と呼ばれる物があります。
小鉢などに入った、ちょっとした料理ですが、
あれは黙っていても三百円くらい取られてしまうわけですね。
頼んでもないのに。
あのお通しを断れるのかが時々議論されますが、
断れるお店もあるようですね。
それによって費用も抑えられるわけですから、
そこが幹事さんの腕の見せどころなのかもしれませんね。
「店員さん、ウチの宴会、お通しカットしてもらえない?」
「いや~お客さん、それはできないんですよ」
「そんな事言わないで頼むよ。
そうしてくれたらさ、これから飲み会やる時には、
必ずここの店を利用するし、俺の友達や知り合いにも
『あの店は、いい店だよ』って宣伝しておくから、
みんな来るよ。
損して得取れって言うじゃない?お願いだからさ、ね?ね?」
「しょうがないですね~。
全くお客さんは口がうまいんだから」
こういう口のうまい方を
【お通し者】と呼んだりするわけですね。
居酒屋での飲み会に欠かせないおつまみの一つに
【焼き鳥】というのがありますが、
以前、東京都内の居酒屋のオーナーが、
ブログなどで焼き鳥の食べ方について苦言を呈して、
話題を呼んだという事がありましてね。
というのも最近は、飲み会で焼き鳥を頼むと、
肉を串から外して皆で分け合うというパターンが増えてきてるんですね。
この『焼き鳥を串から外してシェアする食べ方』
について意見を述べてましてね。
オーナーのブログには
『僕ら、一生懸命、一本一本刺してるんです!
一本一本丁寧に焼き上げているんです』という
焼き鳥への熱い思いと同時に、肉の刺し方や、
塩の振り方などについて詳細に書かれてましてね。
さらに、串から外して焼き鳥を食べる事については、
『切った肉をフライパンで焼いても同じであり、
それは焼き鳥では、ございません』と、
邪道の食べ方だと説いてましてね。
串から外された焼き鳥についても
『絶対に美味しくないし!』と一刀両断にしてるんですね。
串から外した焼き鳥が本当に美味しくないかどうかは、
意見の分かれるところではあると思いますが、
体育会系のサークルなどでは、
下級生は焼き鳥が来たら、
何も言われなくとも串から外す作業をするのが
礼儀だと教えられたりするようですね。
「・・・お客さん、焼き鳥を串から外さないでくださいよ」
「何言ってんだ、お客も一生懸命外してるんだよ!」
そう言いたい方もいるでしょうね。
実際、お店によっては焼き鳥を串から外すための
道具が置かれているところもあるようですね。
画鋲外す時に使うような形の道具ですね。
こうなってくると発想の転換で
【食べられる串】というのが発明されるかもしれませんね。
居酒屋で焼き鳥を頼んでふと見たら、
串が【プリッツ】だったりしましてね。
いずれにしても、どんな食べ方であれ、
出された焼き鳥は残さず綺麗に食べてあげるのが、
お店の人に対する気遣いじゃないですかね。
ことわざにも『焼き鳥、あとを濁さず』と
あるくらいですからね。
微笑亭さん太