福は多くない病
何の病気かピンと来る人は少ないと思いますが、
【おたふく風邪】と言えば誰もが判りますよね。
おたふく風邪は、
ムンプスウイルスというウィルスの感染によって発生するという、
ウイルス性の病気なんですね。
【はしか】や【水疱瘡】、【風疹】と同じように、
子供の頃にかかる人がほとんどですが、
中にはかからないまま大人になってしまう人もいますよね。
1967年にワクチンが開発される以前は小児疾患として全世界で一般的であり、
今でも発展途上国では脅威となっている病気です。
おたふく風邪は、春から夏にかけて感染者が増えるようでして、
五年に一回、全国的な流行を見せるそうですね。
今年はかなり流行しそうで、患者が例年の二倍ほどの多さで推移してるそうですね。
成人男性がこれにかかると、無精子症になって
子供が作れなくなる可能性もあるから怖いですよね。
【おたふく】なんてひょうきんな名前なのに、
結構凶悪な病気だったりするわけですね。
「俺は大人になってから、おたふく風邪にかかったけど、
ちゃんと子供二人もできたよ」
「・・・それ、DNA鑑定した?」
別の心配が出てきたりしましてね。
病気というのは流行りだすと人間の力で止めるには限界がありますし、
時々未知の病というのが誕生したりします。
こういうのは、ワクチンが出来るまでは
打つ手なしみたいなところもありますよね。
「先生、私、おたふく風邪なんでしょうかね?」
「どういう症状ですか?」
「このところ妙に、手拭いで頬かむりしたくなるし、
タコみたいな口になったまま戻らないんですよ」
「あ~それは【ひょっとこ風邪】ですね」
「でも、ウチの妻にも伝染ったみたいで、
頬が腫れたみたいな下膨れの顔になってるから、
おたふく風邪じゃないんですか?
妻は毎日、納豆ばかり食べてます」
「それは【おかめ風邪】ですね」
おたふく風邪だけではなくて【はしか】や【水疱瘡】も、
大人になってからかかると重症化する恐れがあるようですね。
「先生、ウチに25歳になる息子がいるんですけど、
最近やたら着物を着たがるし、
ひとりで右左を向きながら何かブツブツ言ってるし、
扇子で頭をペシペシやりたがって困るんですよ。
これは【はしか】ですかね?」
「いえ、【はしか】ではなく【ハナシカ】ですね。
抗生物質を出しておきますから」
「抗生物質って何ですか?」
「座布団です」
こんな病も困りものですよね。
微笑亭さん太