ちょっと抜いてく?
なんてな事を、乱れる髪も無くなってきた
お父さんたちがボヤいていたりしますが、
【日本語の乱れ】という事が言われるようになって久しいですよね。
かつて、日本語の乱れの代名詞のように言われてきた
【ら抜き言葉】というのがあります。
【見れる】とか【食べれる】【出れる】といった、
本来は【ら】を入れて使うべき言葉の事ですね。
文化庁が発表した2015年度の【国語に関する世論調査】で、
この【ら抜き言葉】を使う人が多数派になったという事が判ったそうですね。
言葉というのは時代と共に変化していくものではありますが、
この変化を良しとするかどうかは、
意見の分かれるところでしょうね。
年配の方も、話し言葉としての【ら抜き】は
気にならないと仰る方が増えてきたようですね。
ただそういう方でも、書き言葉で使われると
気になるという意見が多いんですね。
確かにスポーツバーの入り口で
『日本シリーズ、見れます』と書いてある貼り紙を見たら、
微妙に気持ち悪い感じがしますよね。
随分慣れてきたとはいっても本能的に
【ら抜き言葉】を拒否するような遺伝子が、
日本人にはあるのかもしれませんね。
若い人の中には、混同を避けるために
【ら抜き言葉】を使ってるという主張もありましてね。
というのも、ら抜きは【可能】しか表しませんが、
ら有りだと可能や受動、尊敬といった意味にもなってしまうからですね。
【食べれます】と言うと
【食べる事ができる】という可能の意味が確定しますが、
【食べられます】だと、
尊い身分の方が食事をするみたいな意味の可能性もありますからね。
「食用ピラニアってのが売ってるけど、これって食べられるの?」
「食べられますよ。・・・あなたがピラニアに」
こんな怖い意味の可能性もあるわけですね。
言葉というのは、どんどん省略されて
短くなっていく傾向がありますから、
将来的には【ら抜き言葉】の他にも、
様々な【抜き言葉】が登場してくるでしょうね。
「最近ウチのカミさんがさ、食事の話になると、
【レトルトカレー】とか【カップメン】とか
【宅配ピザ】なんて言葉をよく使うんだよね」
「あ~それは【て抜き言葉】だね」
「俺の方はさ、年の話になると【クシ】とか【枕カバー】、
【風呂場の排水口】なんて言葉を使っちゃうんだよね」
「それは【け抜き言葉】だね」
「そういえばさ、借金抱えてるのにリストラされちゃった知り合いが、
【首吊り】とか【飛び降り】とか【睡眠薬】、
【リストカット】なんて言葉をやたら使うようになったんだけど、
それってひょっとして・・・」
「そう、【し抜き(死ぬ気)言葉】だね」
こんなのは困っちゃいますけどね。
微笑亭さん太