いい組つくろう、キャバクラ幕府
最近の調査では、10代~20代の若い女性の『なりたい職業』の上位に
『キャバクラ嬢』がランクインしてたりするんですね。
キラキラのドレスで着飾り、ヘアスタイルは流行の盛り髪、
お客さんたちからは、高価なプレゼントがもらい放題。
時々息抜きに『レッドカーペット』あたりに出て、
『指名してないとか、言わないの~』なんて言ってるというような
華やかなイメージに、若い女の子たちは憧れるんでしょうかね~。
しかしその実態は、イメージと違って、
なかなかシビアなものがあるみたいですね。
昨年末、『キャバクラユニオン』なる労働組合が結成されましてね。
これはキャバクラに勤務していた女性たちが、
待遇改善などを求めて結成したもので、
キャバクラ嬢による労働組合というのは、全国初のようですね。
女性たちから現場の実態を聞くと、
セクハラや賃金未払いといったような不当な仕打ちが、
随分まかり通っているようですね。
罰金なんかもひどくて、『15分遅刻で罰金千円』とか、
『指定した日にお客さんを呼べなければ、罰金数万円』とか、
『盛り髪の中でカブトムシを飼ってたら、
売って儲けろ』といった事もあるようでして、
お客さんからもボッタくった上に、
従業員からもボッタくってる店があるんですね。
しかしまあ、これで組合ができたわけですから、
これからは店側の好き勝手はできませんよ。
当然、『キャバ嬢のストライキ』なんて事も出てくると思いますから、
そんなスト中に、うっかりお店に行っちゃったりすると災難ですよね。
「今日は、私がお相手します」なんてんで、
ドレスを着たヒゲ面の店長がニッコリ笑って出てきたりしてね。
これは嫌です。
組織がしっかりしてくるにつれて、
何だかお店が役所っぽくなってきましてね。
女の子たちはキラキラのドレスから、地味で活動的なスーツ姿になって、
『セリナ』なんて源氏名を名乗ってた子が急に、
『鈴木よし子』って、本名の名札を付けてたりするんですね。
「君、可愛いね~。おじさん、ちょっと触っちゃおうかな~」
「…そういう事を希望される場合には、
『おさわり申請書』に必要事項をご記入の上、
3番窓口まで提出していただけますか?」
「ああ、そうなの?…もう1本、ボトル入れちゃおうかな~」
「ボトルをお入れになる場合には、
基本的に1ヶ月前までに書類を提出していただき、
健康診断を受けていただく事になっておりますが」
「健康診断!?これから飲もうってのに、それは嫌だな~
…じゃあ、もういいから、水割り作ってよ」
「はい、『水増し』ですね」なんてんで、
どうもお役所っぽい言葉が飛び交ってたりなんかすると、
これは興醒めしちゃいますよね。
微笑亭さん太