食べちゃいたいほど愛してる
常に女性の方が上ですよね。
体力的にも男性に劣るはずの女性が長生きするというのは、
男性のエネルギーを奪って生きているのかもしれませんね。
それくらいならまだいいんですが、
他の生き物の場合は、
実際にメスがオスの命を奪うなんて事もありますよ。
カマキリのオスが交尾後に
食べられてしまうのは有名な話ですが、
【ゴケグモ】という毒グモのオスも、
事が終わるとメスに食べられてしまうそうですね。
でも交尾後ならまだいい方でして、
中にはもっと可哀相なクモもいましてね。
【クジャククモ】というクモは、
求愛のためにメスの前で踊ってみせるんですが、
その踊りが気に入られないと、
その場で食われてしまうそうですね。
これ、寄席に出た落語家の落語が面白くなかったからと、
女性客にナイフで刺されるみたいなもんですから悲惨ですよね。
ところが生き物というのは、学習して進化するものです。
最近の研究で、ゴケグモのオスたちが
メスに食べられないための【生き残り戦略】を
身につけつつある事が判ったんですね。
調査によると最近のゴケグモのオスは、
彼らを捕食するには若すぎるメスを選んで
交尾をしているそうですね。
成熟していないメスの体には生殖器はあるものの、
性器自体はまだ体の内側にあり、
硬い殻に守られているんですね。
要するに受精できる体になっていないわけですが、
オスはその殻を破って受精嚢と呼ばれる精子の受け口に
自分の精子を受け渡します。
やがて幼いメスは成熟した後、
既に渡されている精子で子孫を残す事になるわけです。 これ人に例えるなら、小学生の女の子に
十年間生き続ける遺伝子を仕込むみたいな事ですよね。
その子が成人して後、
恋人もいないのに突然妊娠してしまって、
周りがパニックになるパターンでしょうね。
ただ、この戦略を成功させるためにオスは、
『メスの体が、性器と受精嚢は完成しているものの、
まだ外には出ていない、脱皮の二、三日前の状態』という、
かなり微妙なタイミングを見計らう必要があるそうですね。
ヨダレを垂らしながら虎視眈々と、
幼いメスの体の状態を見ているゴケグモのオスを想像すると、
ちょっと怖いものがありますよね。
「若いメスと交尾を済ませたオスは、
その後、どうなるんですか?」
「クモ隠れします」
人間界でも、
妊娠させてトンズラする男が時々いますから、
ゴケグモのオスも、それに倣ったのかもしれませんね。
「今度、ゴケグモの交尾の様子を描いた、
壮大な恋愛物のアニメ映画を作ろうと思うんだよ」
「へえ~、タイトルは何ですか?」
「『クモの名は。』」
これは大ヒット間違いなしじゃないかと思いますね。
微笑亭さん太