名もなき現象
なんてボヤいてる方もいると思いますが、
外国人が同じような事を言ってるのは、
あまり聞いた事がないですよね。
『西洋人は肩こりをしない』と言われているんですが、
西洋人が日本に来て肩こりの話を聞いて、
『ああ、これは【KATAKORI】というのか!』と
気がつく人が結構いるそうですね。
要するに肩こり自体は西洋にもあったけど、
【肩こり】という名称がなかっただけだった
という事なんですね。
世の中には、誰もが一度は経験した事があっても、
正式名称が何なのかは判らない現象というのが
幾つかありましてね。
火災報知機を見ると無性に押したくなったり、
綺麗に盛り付けられた料理を見ると
引っくり返したくなったりといった、
やってはいけない事を
やってみたくなる人というのがいますよね。
こういった『絶対にやらないでくださいと
禁止されると、やりたくなる』という心理の事を
【カリギュラ効果】というそうですね。
由来はローマ帝国の皇帝をモデルにした
一九八〇年の映画『カリギュラ』が、
過激な内容だったため一部で公開禁止になったんですが、
それがかえって関心を呼んだという事から来てましてね。
確かに『押すなよ、押すなよ!』と言われると
押したくなるわけですから、
【ダチョウ倶楽部効果】と名付けた方が
いいかもしれませんね。
この【カリギュラ効果】を利用して、
お年寄りや子供に優しくする映像に、
『絶対にマネしないでください』の
テロップを付けたテレビCMを流せば、
優しい行動を取る人が増えていくんじゃないでしょうかね。
年を取ると、
そんなに食べていないのに太ってしまう現象を
【モナリザ症候群】というそうですね。
これは日中の交感神経活動が落ちている事が原因とされ、
『Most Obesities kNown Are Low In Sympathetic Activity
(たいていの肥満は交感神経のはたらきの低下による)』の
頭文字をとったもので、
レオナルド・ダ・ヴィンチのモナ・リザとは
関係ないんですね。
「ウチのかみさん、どんどん太っていって、
モナリザ症候群らしいんだよね~」
なんてんで奥さんを見てみると、
顔は【ゲルニカ】だったりしましてね。
これからも名前の付いていない現象に、
新たな名前が付けられていくんでしょうね。
「臭いと判ってるのについ嗅いでしまう現象は、
何と言いますか?」
「【嗅ぐや悲鳴現象】ですね」
「なるほど。
ずる休みしたい時に極端な言い訳を重ねる現象は?」
「【お婆ちゃんは二度死ぬ現象】ですね」
「オナラかと思って出したら暴発して、
実が出てしまう現象は何と?」
「【校門番のうたたね】ですね」
なんてんで、
なかなか粋な名前が付くんじゃないでしょうかね。
微笑亭さん太