名を継ぐ者の覚悟
できる事なら、五代目が御存命中に襲名したかった事でしょうが、
何はともあれ、おめでとうございます。
私からしてみると、名前を継がれる方というのは、
物凄く勇気と覚悟のある師匠だな~と思ってしまいます。
『大名跡』という一級河川に、自ら身を投じるわけですから、
流されずに自分の存在をアピールしていくというのは、
とても大変な作業だと思います。
大きな名前を継がれる方々は、
当然の事ながら、名人上手がほとんどなわけです。
『小さん?…何代目の?』とか、
『円生と言ったら、六代目だろう』というように、
自分の名前が挙げてもらえるかどうか、
過去の名人たちに勝負を挑むような行為にも等しいと言えるのが、
この『襲名』という事ではないでしょうか。
私は愛知大学の落研出身ですが、
この『微笑亭さん太』という芸名は、落研時代からの名前です。
愛大落研にも、『愛知家大楽(あいちやだいがく)』とか、
『徒然亭風来坊(つれづれていふうらいぼう)』、
『笑風亭風笑(しょうふうていふうしょう)』といったような、
代々襲名していく名前がありました。
実力者の先輩方は、そういう大きな名前を手に入れようと、
醜い…いや、激しい争いをしたものですが、
我が『微笑亭』には、
継ぐような名前が、ほとんど存在しなかったんですね。
『微笑亭』の開祖の方のお名前は、
『微笑亭もなりざ』さん(♂)と仰るんですが、
初代限りで、どなたも継いでませんでした。
そこで、ひとつ下の後輩(♂)に、『もなりざを継ぎなさい』と言って、
『二代目 もなりざ』を誕生させました。
…あのさ、今だから言うけど、あの時はゴメンね。
単なるノリで言ったのに、
まさか君が、本当に継ぐとは思わなかったんだ(こらこら!)
若かりし頃の過ちを(過ちって言うな!)
この場を借りて、懺悔させいただきました。
微笑亭さん太