ギョっとする治療法
特定外来種が、河川の生態系を狂わせる問題というのが
よく言われますよね。
そんな要注意外来生物の一つに
【ティラピア】という魚がいます。
ティラピアは、普通に池や川、湖などに生息する魚で、
世界中に生息していて、養殖も可能なんですね。
外見や味は鯛に似ていて、結構美味しかったりするんですが、
生態系を乱す生物である事は確かです。
ところがそんな【招かれざる客】であるはずのティラピアが、
将来的に我々の傷を治す手助けを
してくれるかもしれない可能性が出てきたんですね。
というのも、ティラピアから抽出したコラーゲンが
傷を綺麗にし、治癒を加速する【創傷被覆材】となるかもしれない事が、
科学者たちによって発見されたんですね。
創傷被覆材(そうしょうひふくざい)とは、
怪我した部分を覆って保護するための衛生材料の事ですね。
これにはコラーゲンが使われていて、
牛や豚由来のコラーゲンは、
今までにも使用された事があるんですが、
感染症の心配や、宗教上の理由などの問題があったんですね。
そこで研究者は、
他の生物のコラーゲンが使えないか研究したところ、
ティラピアコラーゲンはネガティブな免疫応答を
誘発しない事が判り、優秀な創傷被覆材になれると
結論付けたんですね。
動物実験では、ラットの背中に傷をつけ、
ティラピアコラーゲンで治療したところ、
二週間で傷がほとんどなくなっていたそうですね。
数年後には、ティラピアを使った傷の治療が
一般的になり『怪我したら、ティラピア貼っておけ』
みたいな時代になるかもしれませんよね。
よく怪我をする人は、
そのたびにティラピアを貼りますから、
そのうちだんだんと、魚っぽくなってきたりしましてね。
出刃包丁をやたら怖がったり、
ミミズを見ると食べたい衝動にかられたり、
目からウロコがやたら落ちるなんて症状が出てくるわけですね。
「おばちゃん、俺、彼女にフラれちゃったんだよ」
「そうかい・・・じゃあ、これでもお食べ」
なんてんで食堂のおばちゃんが、
【ティラピア定食】を出してくれたりしましてね。
心に負った傷をそっと治してくれる、
まさに【失恋レストラン】というわけですね。
他にも、変わった傷の治療法というのはあるわけでして、
ハエの幼虫であるウジを使って傷を治療する
【マゴットセラピー】なんてのがありましてね。
傷口にウジを這わせて
悪い組織を食べさせるという方法なんですね。
ウジは腐って死んだ組織だけを食べる性質がある上、
体から抗菌物質を分泌し傷口が殺菌されるため、
治りが早くなるんですね。
このマゴットセラピーは【副作用がない】とか
【麻酔を必要としない】【その他の治療と併用が可能】
といったメリットがある反面、
【ウジが体に住み着く可能性がある】とか
【治療中の違和感がハンパない】【見た途端、気を失う人続出】といった
デメリットもあるんですね。
「ウジを使うのが嫌だったら、
傷口に【すだち】をかけてやると治りが早くなりますよ」
これを医学界では
【ウジよりすだち】と呼んでいるそうですけどね。
微笑亭さん太