消失感がたまらない
間違えた時には困りますよね。
基本的に消えない筆記具で書いてますので、
消しゴムで消すわけにはいきませんから、
もう一枚最初から書き直さなければいけません。
たった一文字の一画の事で、
全て最初から書き直しというのは絶望感が漂いますよ。
今、【消せるボールペン】というのがありましてね。
ボールペン本体に付いているラバーで擦ると、
その摩擦熱によって文字が消えるという物でして、
非常に便利ではあるんですが、
消せるが故のトラブルというのもあったりしましてね。
先日、京都市役所の複数の公文書に
【消せるボールペン】が使用されていた事が明らかになったんですね。
消せるボールペンで記入した文書は、
改ざんされる恐れがありますからマズいですよね。
市の監査委員が昨年4月から9月までを対象期間に、
7局3区役所の57の課や事務所などの
帳簿や証書などを調べて見つかったものでして、
タクシーチケットの交付整理簿や使用報告書、
資金前渡出納簿、備品の使用管理簿などに
使用されていた事が判ったんですね。
消せるボールペンは印刷物の校正などに便利なため、
若手を中心に使用する職員がいるという事ですが、
この使用された書類の内訳を見ると、書いた側が
【消す気満々】だったんじゃないかと勘繰ってしまいますよね。
このボールペンが消える仕組みというのは
【熱】によって消えるわけですが、部下が一生懸命居
残って仕事を続けているところへ、心優しい上司が、
「残業お疲れさん。まあ、これでも食べてよ」
なんてんで差し入れの肉まんをドンと置いたら、
その熱で文字が全部消えちゃったりしましてね・・・
ただ、冷やせば元に戻るそうですので、
これからは書類の保管庫が【冷蔵庫】になっていくんじゃないでしょうかね。
派手な異性関係をお持ちの方なんかは、
このボールペンで戸籍を作成してもらえば、
バツイチだろうがバツニだろうが、
みんな消えてなくなるから助かりますよね。
消えるという機能があると便利な物というのは、
他にもきっとありますよね。
「これは【消える本】なんですか?」
「そうなんですよ。
一定期間で読みきらないと、文字が消えてなくなっちゃうんですよ。
買っても読まない
【積んどく】ばかりしている人には効果的ですよ。
推理小説なんかは、犯人が判る寸前まで読み進めたところで、
文字が消えちゃったりしてね」
「それは嫌ですね~。・・・こちらの女性は?」
「【消える妻】ですね。
一日一回『愛してる』を言わないと、
翌日には消えてしまうんです」
「面倒臭いシステムですね。
このボールペンは、いわゆる
【消せるボールペン】というヤツですか?」
「そうなんですが、これはもっとグレードアップしてまして、
【都合の悪い相手が消えるボールペン】ですね」
「都合の悪い相手が消えるボールペン?
どういう事ですか?」
「先端から弾が出るんです」
それは普通に拳銃ですけどもね。
微笑亭さん太