『時そば』の稀少性
扇子や手拭いを使った仕草は欠かせませんよね。
その仕草の中でも有名なのは、
【そばを食べる仕草】じゃないかと思います。
ちょっとした、落語の代名詞的な仕草といっても
過言ではない気がします。
最近よく、
お仲間の社会人落語家の方と話すんですが、
そんな【そばを食べる仕草】をする噺というのが
意外に存在しないんですよね。
誰でもパッと浮かぶのは『時そば』だと思いますが、
他には『そば清』くらいでしょうかね。
ところが、ここから先が何も思いつきません。
めん類というくくりならば
『うどん屋』もありますが、
あの噺のうどんを食べる仕草は、
明らかにそばとは差別化を図った仕草になっています。
やはり他には見つからないんですよね。
しかも、【そばを食べる仕草】というのは
社会通念的に【かけそばを食べる仕草】
という事になってますよね。
そうなると、『そば清』は【ざるそば】ですから
これに該当しなくなります。
従って【そばを食べる仕草】に該当する噺は
『時そば』しか存在しない事になってしまいます。
落語の代名詞的に言われる仕草が、
実は、たった一つの噺にしか登場しないというのは
結構衝撃的な事実ではなかろうかと思ったりしますが、
どうでしょうかね?
他にそばを食べる仕草が
存在する噺をご存知の方がいたら、
是非とも教えていただきたいと思います。
微笑亭さん太