アナと雪のさん太
成田家紫蝶さんから電話がかかってきました。
「実は今日、豊橋の公会堂で、
成年後見制度に関するイベントがあるんだよ」
「あ、そうなんですか」
「そこにね、桂ひな太郎さんという
プロの師匠に出ていただく予定なのね」
「はいはい」
「そのひな太郎師匠からさっき電話があってね、
師匠は昨日、高山で仕事があったようで
高山泊まりだったんだよ。
今朝、高山から豊橋に向かう予定だったんだけど、
ひどい雪と倒木で電車が止まってしまい
全く動けない状態らしいんだよ」
「はあ・・・そうなんですね・・・」
「それでさ・・・さん太君、今日の昼、何か予定ある?」
「いえ、特には・・・」
「じゃあさ、今から公会堂に来て落語やってくれないかな?」
「えっ、今からですか!?」
「大丈夫、出番は1時半からだから、まだ4時間もある」
「いや、4時間しかない、のでは?」
「イベントの趣旨的に、普通の落語じゃダメなんだよ。
ある程度、テーマに沿ったネタじゃないといけないんだ」
「ああ・・・なるほど・・・」
「君の認知症のネタならバッチリなんだよね」
「あ、でも・・・」
「お客さんは300人くらいは入る予定で、
ひな太郎師匠の持ち時間は40分だから
君も40分、イケるよね?」
「あ、いや・・・」
「イベントの全体時間の約半分が落語なんだよね。
落語が無いと、イベント自体が成り立たないし・・・
来てくれるよね?」
・・・もちろん『はい』以外の答えは存在しません(笑)
そういうわけで昨日は、
豊橋市公会堂のイベントで40分ほど喋ってきました。
オファーから出演までのインターバルが4時間という
自分史上最短記録を樹立しました。
ひな太郎師匠も電車が止まるという、
大変な災難に遭われたわけですが、
雪が原因で開いた穴を埋めるという
【穴と雪のさん太】でしたね。
しかし、当日のアクシデントで
来られなくなったプロの師匠の穴を
イベントの趣旨に沿ったネタで埋め、
何事もなかったようにイベントが進んでいく、
そんな【チートなアマチュア】・・・
ちょっとだけ、
自分の存在意義を自覚する事ができました(笑)
肝心の高座の方ですが、
代役の落語に笑って下さるかどうか心配でしたが、
とてもよく笑っていただけました。
お客さんの中には、
心の中で、こう呟いてくださった方も
いるかもしれません。
少しも寒くないわ・・・
微笑亭さん太