落語って、面白いですか?
「落語って、面白いですか?」と聞かれた時、
社会人落語家の皆さんは、自信を持って
「ええ、面白いですよ!」と
答えられるでしょうか?
答えられるよという方も、
一瞬のためらいもなく、
即答する事ができるでしょうか?
この場合、
質問者の想定する【面白い】というのは
【全編笑いっぱなし、もしくは
それに準ずる笑いの量を内包した話】と考えて
間違いないのではないかと思います。
端的に言えば、
「沢山笑えるものですか?」と
量的な事に主眼を置いての質問だと推測されます。
質より量を尋ねていると見た方がいいでしょう。
その基準に基づいて考えると、
落語というのは本寸法で演った場合、
コントや漫才といった他の演芸に比べて
笑いの量という点においては
相対的に劣るのではないかと思います。
もちろん、大爆笑の噺もありますが、
それはむしろ一握りで、大半はストーリーを語るための
【アクセサリー】としてギャグなどが点在している
そんな印象を受けます。
それがいけないと言うつもりは毛頭ありませんが、
冒頭の質問をされた時に、
戸惑い、言葉を濁してしまう自分がいる事も確かなのです。
私は古典を演る時には、
ディテールにこだわらずに大胆に手を入れ、
ギャグを盛ったりするわけですが、
それは「落語は面白いんだよ」と
胸を張って言えない自分に対する
焦燥感的なものの裏返しかと思ったりするのです。
それでもやはり
【落語は最高のエンターテイメントである】というのは
変わらず持ち続けている信念ですので、
一人でも多くの方に落語を聞いていただき
落語ファンを増やしていきたいと思っています。
・・・迷いながらも。
微笑亭さん太