ああっ女神さまっ!
ある日、落語のネタ繰りをしながら、森の中を歩いていました。
すると稽古に熱が入りすぎるあまり、
手が滑って、持っていた大事な扇子を
近くの湖の中に落としてしまいました。
困ったあなたが湖面を見つめていると、
湖の中から出囃子にのって、
着物姿の女神様が出てくるではありませんか。
女神様は言います。
「あなたが落としたのは、この金の扇子ですか?
銀の扇子ですか?
それとも、ファッション扇子ですか?」
「どれも違います。
私が落としたのは、高座扇です」
「そうですか。
それで、落語は落としましたか?」
「いえ、落ちませんでした・・・って、ほっといてください」
「正直なあなたには、この
【八代目・女神】と銘入りの
日本手拭いを差し上げます」
「いやいやいや、扇子は返してくれないんですか?」
「ホホホ・・・落語が落ちない人に、
センスなんかあるわけないでしょう」
「大きなお世話ですよ」
「じゃあ、この扇子をお返ししましょう」
「うわっ、扇子ずぶ濡れじゃないですか」
「当たり前です。
湖に落としたんですから」
「え~っ、そこは【お伽話補填】とかないんですか?」
「ありません。
その代わり、あなたに特殊能力を授けましょう」
「特殊能力?」
「はい。
A)常に高座では大爆笑間違いなしだが、
お客さんの印象には、ほとんど残らない能力
B)ウケという点ではAより確実に落ちるが、
非常にお客さんの印象に残る能力
さあ、どちらかを選んでください」
こんな時、あなたなら、どちらを選びますか?
私も悩んでしまいますね。
微笑亭さん太