祝福の適温
メダルを取られた選手の方々、本当におめでとうございます。
社会人落語家の皆さんが高座に上がられて、
自分としても出来がよく、客席のウケも申し分なかったとします。
会心の高座だという実感がある中、高座を下りると、
「いや~、良かったよ~!面白かった~!」と絶賛しながら、
真っ先に握手を求めてくる人が人がいます。
よく見るとその人は、
客席が大爆笑している中、ひとりだけアクビをしてダルそうにしてたり、
ケータイを見てたり、居眠りしてたりして、
ロクに自分の高座を聞いてなかった人なのです。
明らかに自分の落語に興味を持ってなかったはずなのに、
まるで一番の応援者だったかのように、先頭に立ってベタ褒めしてくる
そんな人を見たら、褒められた方としても
微妙な空気になって、戸惑ってしまいますよね。
冬季でも夏のオリンピックでもそうですが、
さほど注目されていなかった競技の選手が、
予想以上の健闘を見せメダルを獲得した途端に、
ほとんど扱ってなかったマスコミたちが、
「おめでとう!やってくれると思ってました~!」みたいなトーンで
大絶賛している光景を見ると、
前述したような寄席のお客さんを想像してしまうんですよね。
『…いやいや、あなた、そんなにボクに興味持ってなかったでしょう?』と、
選手としてはツッコみたいんじゃないかと思いますね。
その競技のルールも今ひとつ把握していない人たちに、
「よくやった!」とか言われても、かえってシラけてしまう気がするんですよね。
もちろん、結果を出した選手を祝福するのはいいんですが、
祝福するに当たっての【温度】というのがある気がします。
やはり選手たちは、そこに至るまでの過程において、
自分を支えてくれたスタッフやコーチ、ずっと応援し続けてくれた真のファンに、
真っ先に祝福してほしいんじゃないでしょうか。
マスコミも仕事だから仕方ないとはいえ、
そういう人たちよりも先に、手の平を返したかのような祝福は、
見ていて【違和感】を感じてしまうのは、私だけでしょうかね?
何はともあれ、まだまだ競技も続きますから、
選手の皆さん方には、頑張っていただきたいですね。
微笑亭さん太