奇跡の軌跡
被害に遭われた方は、本当にお気の毒という他はありません。
事故に巻き込まれたりして、
絶体絶命の過酷な状況から奇跡的に救出された人というのは、
その人の経歴や人間性に関係なく、
妙に美化され英雄視されるという事がありますよね。
以前、南米アルゼンチンのアンデス山脈で遭難した
58歳のウルグアイ人の男性が4カ月ぶりに救出され
【奇跡の生還】として報じられたんですね。
この男性、標高2500メートルの山小屋にいたところを発見されたんですが、
栄養失調で体重が20キロ減り、40キロになっていたんですね。
持っていた砂糖とレーズンの他、
ネズミを捕まえて食べ生き永らえていたという事で、
アルゼンチンや隣国ウルグアイのメディアは
この救出劇を感動的ニュースとして大きく報道したんですね。
ところがこの男性、
実は性犯罪を問われた逃亡中の被告だったという事が判ったんですね。
この被告はチリで少年に暴行を加えたとして起訴され、
裁判前に逃走し、アンデス山脈に逃げ込んで吹雪に遭ったんですね。
正体を知った山が思わず『…アンデスと!?』と驚いたそうですが、
この助かった事自体が、運が良かったのか悪かったのか、
微妙な結果になっちゃってますよね。
「あんな状況で助かるなんて、生命力の強い変態だね~」
「やはり【生(性)への執着】が強いんだろうね」
容疑者の行方を追っていたチリ当局も、驚いていたようですね。
チリというと3年前、
北部にあるサンホセ鉱山というところで起きた
落盤事故が全世界の注目を集めましたよね。
作業員33人が、地下700メートルに70日間も閉じ込められたため、
政府が救出用の縦穴を掘削し、カプセルに一人ずつ乗せて
引き上げ全員無事に救出され、これも【奇跡の生還】と呼ばれました。
当時、完全に英雄視されていた彼らですが、
大半は社会復帰を果たしたんですが、
トラウマを克服できずに、無職のまま酒や薬に頼っている人も多いようですね。
当時、一番話題になったのが、ジョニ・バリオスさんって方でして、
この方、妻と愛人が地上で鉢合わせしてしまった事で有名になりました。
救出されなければ地獄ですが、
救出されても地獄みたいな状況だったわけですね。
救出後、愛人と同居し、補償金で食料品店を開いたんですが、
場所が悪くてすぐに閉店しちゃったんですね。
当人は恥ずかしくて『穴があったら入りたい』と言っていたらしいですが、
今は愛人を働かせて昼間から酒をあおり、救出時に65キロだった体重も、
今では救出用の縦穴を通れないレベルにまで太ってしまったようですね。
不摂生のツケがたまったようで、
【チリも積もれば山となる】という事なんでしょうかね。
現実の事件事故というのは、ドラマや小説のように、
ハッピーエンドで終わらない事が多いものですよね。
微笑亭さん太