『やかん』の一席でお付き合いを…
老人会の集まりにて、1時間ちょっと喋ってきました。
楽屋入りしてすぐに、年配の世話人の方が、
「お囃子のテープをお預かりします」
「あ、すみません、今日はカセットテープを忘れてしまって…
CDでもよろしいですか?」
「【シーデー】ですか。ちょっと待ってください。
…ほい、あんた、【シーデー】は、かけられるかん?」
「いや、カセットテープしかあかんら。【デーブイデー】はあかんよ」
「【デーブイデー】じゃなくて【シーデー】だに」
「あ、ほうか、【シーデー】か。【シーデー】は無理だに」
「ほうかん……あの、【シーデー】はかけられないみたいです」
…まるで【デー発音祭り】みたいな状態になってました。
CDをかけられる機械がないという事なので、
仕方なく無音で高座に上がりました。
生声でも大丈夫なくらいの会場だったんですが、
一応、ショートスタンドマイクが用意されてました。
私が楽屋入りした時点で会の方は既に始まっていたため
マイクチェックが出来なかったせいもあるんですが、
喋りだしてすぐに、世話人の方々が出てきてマイクを調節し始めました。
最初は一人だったんですが、一人、また一人と追加されて、
しまいには3人の方が、客席にお尻を向けた格好でマイクを直しだしました。
3人の【鉄壁のディフェンス】のせいで、お客さんから私の姿は
全く見えないような状態が暫く続きました。
やっと調節がうまくいったようで、3人の方々は去っていったんですが、
すぐに『こっちの方が良く入るから』とか言いながら、
別のマイクを持って出てきたので、
「…いや、もう、勘弁してください。これでいいですから」と
丁重にお断り致しました。
老人会の高座では、最初に注意を促しても、
途中で携帯が鳴る率が結構高いんですが、
この日はそんな事もなく順調に進んでいきました。
会場の後ろの方にキッチンがある事は気付いてたんですが、
ちょうどネタが佳境に入った頃、そちらの方から、
「……ピ~~~~~~~~~ッ!!!!!!」
会場に響き渡る、やかんのお湯が沸騰した音。
しかも、誰も止めに行ってくれません。
思わず高座を下りて、自ら止めに行こうかと思いました(笑)
敵は懐中ではなく、台所にあり!でした。
やかん、アカン!
微笑亭さん太