現実と戦うヒーローたち
遊園地などへ行く親御さんも多かったんじゃないかと思いますが、
そういう場ではよく、特撮ヒーローやアニメのキャラクターが
着ぐるみ出演する
【キャラクターショー】というのが行われますよね。
特撮ヒーローの場合は、実際の撮影でも、
スーツアクターの方が中に入ってますからいいんですが、
アニメキャラの場合はそうはいきません。
オリジナルキャラが、可愛さを演出するために
元々ありえない二頭身くらいだったりするので、
その比率だと着ぐるみを作れない事が多いんですね。
そこで人が入れるような着ぐるみにすると、
八頭身のキティちゃんが出来上がったりしちゃうわけです。
それを見て『こんなのキティちゃんじゃない!』と言って
泣き出す子供が続出するなんてのも、夏休みの風物詩のひとつだったりします。
キャラクターショーの元祖というのは、
『ウルトラマン』でお馴染みの円谷プロだそうですが、
その起源は昭和42年に福島県会津若松市の若松城で開催された、
会津博覧会の【怪獣館】という展示だそうですね。
このイベントでは、怪獣の着ぐるみが集客のために
会場内を回っていたんですが、その時、
怪獣館の隣の自衛隊の展示ブースから、自衛隊員が暇つぶしのため、
怪獣に戦いを挑んできたんですね。
周りの子供や大人は大変興奮して、
司会者である円谷皐さんも即興で司会をしたんですが、
何と自衛隊員は負けてしまったんですね。
日本の国を守るどころか、
イベントに参加していた子供たちすら守れなかったわけです(笑)
そこで円谷皐さんが『ウルトラマンを呼ぼう!』と叫び、
観客と一緒に『ウルトラマ~ン!』と叫ぶとウルトラマンが現れ、
怪獣を倒し周囲は興奮の渦に包まれたというハプニングから、
ショーをすることを思いついたそうですね。
その時に自衛隊員の方々が暇つぶしを思いつかなかったら、
そして自衛隊が怪獣に勝ってしまっていたら、
現在のキャラクターショーはなかったわけですよ。
ですから今の子供たちは、暇で弱かった当時の自衛隊に
感謝しなければいけないわけですね(笑)
それ以降、毎日のように各地でショーが行われているわけですが、
子供相手の生の舞台ですから、
当然ハプニングの宝庫という事になってきますよね。
アクションが売りのヒーロー物では、
戦闘の最中に色々な付属物が落っこちるなんてのは日常茶飯事です。
剥がれ落ちたヒーローの目を、
悪役の怪人が拾って付けてあげるシュールな光景が見られるのも、
キャラクターショーならではです。
見に来ている子供たちも、様々な事を学べますよ。
とあるデパートでのショーで、ウルトラマンが2階から登場し
吹き抜けを飛んで登場するはずが、意外に高かったため、
エスカレーターで恥ずかしそうに降りてくる姿を見れば
『ヒーローにも限界があるんだな』と判りますし、
真夏の【マジンガーZ】のショーで、中の人が暑さでやられて、
口元からルストハリケーンの様にゲロが飛び出せば
『新しい必殺技は、こうやって生まれるんだ』という事が判りますよ。
そしてウルトラヒーローが勢揃いしている中、
【ウルトラの母】の股間がモッコリしていても
『これはツッコんではいけない事なんだ』という、
大人の気遣いも身につけていく事ができるんでしょうね。
微笑亭さん太