笑い百態
お客さんに笑っていただいてる時の幸福感というのは
座布団の上に座った事のある方なら、誰でも感じるものだと思います。
よく『笑わせているのか、笑われているのか?』といった
議論がされたりはするんですが、
自分が描いた青写真の通りお客さんが笑ってくだされば
こんなに嬉しい事はありません。
笑い方は人それぞれですし、
どういう風に笑っていただいても結構なんですが、
私的に【好きなウケ方】というのがあります。
一番理想的なのが、【笑いの統率が取れてるお客さん】ですね。
お客さん全体が、同じトーン、同じ呼吸で笑ってくれる方々を前にすると
こちらとしても物凄く演りやすいですし、
もっと笑わせたいというモチベーションも高まっていきます。
典型的な【演者を乗せてくれるお客さん】だと思いますね。
それから、【クスグリに対する価値観が同じお客さん】も好きですね。
決して全てのクスグリに大爆笑しているわけではなくとも、
『ここは爆笑取りたい!』と思っている数ヶ所のクスグリに
こちらの期待通りのウケ方をしてもらえると、非常に気分がいいです。
高座を終えた後の後味も抜群にいいですね。
あと意外なところかも知れませんが、
【興味深げな顔で大きく頷いてくれるお客さん】も好きですね。
割と表情も乏しくて反応が薄いお客さんを前にすると、
本当に聞いてくれてるのかどうか、興味があるのかどうか
こちらの【置いてきぼり感】がハンパないんですが、
大きく頷いてくれるお客さんばかりだと、大変心強いです。
共感を得られてるんだな~と実感させてもらえます。
一回の頷きは、一回笑いを取った事と同じとさえ思っていますね。
よく我々がマクラなんかで
「今からの落語が面白くなくても、無理に笑ってくださいね~」なんて事を
【ネタ】として言ったりしますが、それは【真実】の部分もあると思います。
多少面白くなくても、お客さんが積極的に笑ってくだされば、
ウケてると勘違いした演者のモチベーションが上がって、
その後の大熱演に繋がるなんて事があるでしょうし、
その場にいる他のお客さんも、何となく誘発されて、
徐々に笑いの量が多くなっていく事も十分考えられます。
結果的に終演後お客さんが、
『出足は今いちだったけど、結構いい高座だったな~』なんて思える可能性も
ありえるのではないかと思いますね。
まさに『情けは人のためならず』ですよ(笑)
そのために我々も日夜努力をして、
より多くお客さんに笑っていただけるように精進せねばと思いますね。
微笑亭さん太