もう飛び出さなくなってしまった…
『アバター』という映画が大ヒットしましたよね。
全世界で約2780億円という、とてつもない興行収入をあげ、
歴代一位の記録を打ち立てました。
『アバター』がヒットした最大の要因として、
本格的かつ斬新な【3D作品】だった事があげられます。
その後、内外問わず3D作品というのは増えていき、
あの貞子でさえ、3Dで本当に画面から飛び出てきたりしてました。
3D映画が急激に増えた理由は、とにかく儲かるからなんですね。
製作費に対する収益は、通常の作品だと
1ドル当たり約250円なんですが、
3Dだと約370円と、1・5倍近くも儲かるんですね。
映像だけじゃなく、儲けも飛び出してくるんですね。
これはチケット代が通常より高いからなんですが、
それが最近、裏目に出てきつつあるようです。
というのも『アバター』以降、
今年は初の前年割れをしてしまう予想が出てましてね。
その原因というのは『3D映画乱発により飽きられた』という事と
『高いチケット代を払う事に嫌気がさした』という事になるんでしょうね。
そんな3Dを上回るという事なんでしょうか、
最近は『4DX』というのがあるそうですね。
これは韓国発の体感型上映技術なんですが、
天井や壁、座席に特別な設備を取り付ける事により、
映画の内容に合わせてスモークや水しぶき、
風や香りといった演出を楽しむ事ができるんですね。
戦闘機で戦うシーンなどでは、座席が前後左右に揺れ、
天井や座席頭部から風も吹き出したりして臨場感タップリなんですね。
お花畑のシーンでは、良い花の香りが漂ってくるという、
鼻でも楽しむ事ができる映画になっているわけですね。
ですから酒場のシーンでは、
下戸の人が酔っ払ってしまうくらいお酒の臭いがプンプンしてくるでしょうし、
その後、路地裏で吐いた時の酸っぱい臭いも忠実に再現。
主人公が肥溜めに落っこちるシーンでは、
よりリアルな下肥の臭いがしてくるでしょうから判りやすくていいですよね。
ただ『スターウォーズ』や『エイリアン』のような
宇宙空間を舞台にした映画の場合、
周りの空気もなくなるようになってますので、
油断すると窒息死してしまう危険がありますよね。
ホラー映画では、殺人鬼に襲われるシーンが過ぎるたびに、
なぜか観客が一人づつ減っていくという、
緊迫感溢れる演出も可能になるんでしょうね。
こういう体感型が流行りという事であれば、
寄席も体感型にしてみたらどうでしょうかね。
客席で見ているお客さんも、
5分ごとに高座に上がってネタを披露するんですね。
そうする事によって、『リアルな寒さ』を経験していただければ、
今後、噺家さんに優しくなってくれるんじゃなかろうかという期待が持てますね。
ただ予想に反して爆笑を取ってしまうと、
噺家さんの方がますます自信をなくしてしまうなんてリスクもありますけどね。
微笑亭さん太