果たして、小間物屋政談は一件落着したのか?
最終的にお奉行様が介入して決着をつける落語というのは、
スカッとする爽快感がありますよね。
そんな中『小間物屋政談』という噺があります。
他の裁き物よりはマイナーな感がありますが、
演られる人はいらっしゃいます。
江戸の背負小間物屋、相生屋小四郎が、仕入れのため上方に向かいます。
途中、箱根の山で木に縛られている男を助けるんですが、
この男、芝の小間物屋、若狭屋甚兵衛で、
盗賊に襲われ身包み剥がされちゃってたんですね。
小四郎は着物とお金を与え、自分の名前と所を記した書付を着物に入れておきます。
二人はそこで別れるのですが、
その後、甚兵衛は小田原の宿で急死してしまうんですね。
宿帳を付けてないので身元が判らなかったんですが、
着物にあった書付から、相生屋小四郎と判断されちゃうんですね。
江戸から確認に出向いた大家さんは
小四郎が着ていた着物を着ているし、何となく面差しが似ているため
小四郎だと断定して、骨を江戸に持ち帰り、葬式をしてしまいます。
未亡人となった小四郎の女房は、
いとこの三五郎と一緒になる事を勧められ、それに従って夫婦になります。
そんなある日、小四郎が帰ってきます。
幽霊が出たと言って大騒ぎになりますが、
小四郎にしてみれば、女房が他の男と所帯を持っているのが納得いきません。
そこで町奉行の大岡越前守に訴えて出ます。
選択を迫られた女房は、どちらにも決めかね困ります。
お奉行様は、小四郎に『死ね』と命じます。
そして改めて、甚兵衛の未亡人と一緒になるように言います。
見ると、この未亡人がとびきりの美人。
喜んで同意して、若狭屋の三万両の身代となります。
「お奉行様の恩は、生涯背負いきれません」
「お前は今日から若狭屋甚兵衛、背負うには及ばん」
あ~、めでたし、めでたし……そうか!??って噺です(笑)
これは講談を落語化した噺のようですが、
ぶっちゃけ『何でこんなストーリーにしちゃったんだろ?』と思いますね。
この結末自体、納得いくかどうかはお客さんの個人差があると思いますが、
これ以外に妥当な解決法が見つからない事も事実です。
この『問題』を出されたら、
その『解答』を書くしかないみたいになってるわけでして、
そうなると、問題文自体に問題があるのではないかと言わざるをえません。
私も一応、落語を書く人間ですが、落語の書き手の感覚として、
こういう『モヤッとした結末』になるしかないストーリーを
なぜ構築してしまったのかが疑問でならないのです。
これが『実話』なら仕方ないと思いますが、『創作』であるなら、
もう少し聞き手が腑に落ちる結末に繋がるような
フリはできなかったのかと、いささか疑問に思いますね。
そもそも、小四郎、三五郎、それぞれの女房の四人が
その後、幸せに暮らせたのかどうかが非常に心配です(大きなお世話・笑)
小四郎の、訴えてまで取り戻そうとした
女房に対する愛情はどこへいってしまったのかも疑問ですし、
未亡人が美人だからOKって…(苦笑)
いいのか?いいのかそれで?と聞きたくなりますね。
聞かれた事ある方は、皆さん納得がいったのでしょうかね~?
微笑亭さん太