ニューヒーロー、登場!
『第4回 男女共同参画寄席』に出演させていただいた事は
昨日のブログに書きましたが、
近江八幡には、なかなか個性的なお客様がいらっしゃいましたので、
ちょっと番外編という事で、書かせていただきます。
開場前に演者全員で記念撮影をするという事で、着物に着替えて、
お客さん方が待っておられるロビーの方へ歩いていったんですが、
するとマスクをされた年配の男性が私の前に立ちふさがって
「…5時半から『笑点』見なあかんで、『笑点』を」と
何の説明も前フリもない状態で言われました。
もちろん、その方の事は存じ上げませんし、
何の目的で、どういうつもりで仰ったのかも判りません。
唐突に、【謎のマスクマン】登場です。
これから高座に上がろうとしている時にそれを言われても…
あれは、何とお答えすればよろしかったんでしょうね?
『ヤフー質問箱』に聞こうかと思いました。
私の出番は仲入り前だったんですが、
仲入りの時にトイレに行こうとしていたら、別の男性のお客さんに、
「面白かったよ。…あんた、他でも落語やってはるの?」
「ええ、やらせてもらってます」
「ああ、そうなんや!」
目を輝かす、お客さん。
「ほな、どこに行ったら聞けるんや?」
「ああ、僕は愛知県の人間なもんですから、普段出ているところは
豊橋とか名古屋ですので、ちょっと遠くなってしまうんですが」
「ああ……そうなんや……」
そう仰った顔が、
まさに『落胆』という言葉を三次元化したような表情でした。
何だか私は『患者さんに余命宣告をしたお医者さん』みたいな心境になりました。
「また、こっちにも来てや」
そう言って握手を求められましたが、
はい、必ず伺いますので、よろしくお願い致しますね。
私は、離婚をイジった『離婚式』という自作を演ったんですが、
終演後、お見送りをしていたら、今度は年配の女性が寄ってこられて、
「あんたの『離婚式』ゆう噺、面白かったよ~」
「ありがとうございます」
「あんなに笑うたのは久しぶりや」
「そうですか。それは良かったです。ああいう噺がお好みですか?」
「…実はな、ウチの息子が最近、おかしな事ゆうててな」
「…はあ?」
「何や、嫁とうまくいってへんみたいでな、
『もうアカンかもしれん』ゆうてな…あんたの落語聞いてたら、
何や身につまされてもうて……」
「ああ……そういう事ですか……それは大変ですね……」
…これは完全に、ネタの選択ミスという事になるんでしょうか?
何だか申し訳なかったな~と思って、
女性を送り出した後、ふと振り返ると、
「…5時半から『笑点』見なあかんで、『笑点』を!」
出たな、マスクマン!(笑)
てっきり『笑点』を見るために途中で帰られたのかと思っていたら
最後までしっかり見ておられたようです。
あれからお宅へ帰られて、
ちゃんと『笑点』をご覧になれたのかどうか、
ミスター・マスクマンのその後が気になって仕方が無い私です。
滋賀県は私に、物凄いインパクトをくれました。
是非また伺いたいものです。
微笑亭さん太