天災的なボケ
輝楽苑という老人介護施設に行ってきました。
いつもの悪質商法の出前講座なんですが、
認知症の方が入所していらっしゃる施設でやるというのは、
初めての事です。
現場に着くと、市役所の女性スタッフのNさんという方が、
「今日は、さん太さんに、これを差し上げようと思って持ってきたんですよ~。
ネタ帳にでも使ってください」
と、満面の笑みで『いなりんノート』をくださいました。
豊川には『いなりん』という可愛い『ゆるキャラ』がいるんですが、
以前ブログで、『いなりんの、グロい背中に衝撃を受けた』
という記事を書いたのを見てくださっていたようで、
それを踏まえて持ってきてくれたようです。

「ほら、グロいでしょう?」
と、ノートを裏返すと、
しっかり『いなりんの卵』と見紛うばかりの白いツブツブが…

「いなりんの着ぐるみがあるらしいですね?」
「ええ、でも、イベントなんかで、
いなりんを見つけて寄っていった子供たちが、背中を見て泣きだすんです」
…そんなトラウマを与える『ゆるキャラ』って…
会場は老人介護施設ですが、
お客さんはご近所の方々が中心となって集まってこられました。
認知症の方々が入所されているという事で、
至るところに個室の扉がありました。
会場となったスペースの後ろにも扉が複数あり、
中には入所者の方が休んでみえるようでした。
落語の途中で、お爺ちゃんがひとり扉から出てこられました。
どうやらトイレのようで、暫くして戻ってみえたんですが、
どう見ても、さっき出てこられた個室とは
違う個室の扉を開けて入っていかれようとします。
『え~!お爺ちゃん、そこ、違う!』
…お客さんたちは扉に背を向けているので、
それに気づいているのは、高座の上の私だけなのです。
その間違いが気になって気になって、
落語が若干、上の空になってしまいました(笑)
こういう施設では恐らく日常茶飯事なんでしょうが、
『…お爺ちゃん、そこ違うから!』と、
極上の『ボケ』に対してツッコんであげたかったですね~。
微笑亭さん太