過去過去しかじか
今月17日には、天狗連の月例寄席がありました。
この日は非常に不安定な天気で
夕方の豊橋では台風並みの風が吹いていたため、
寄席のお客さんも少なめで、
久々に月例寄席の客席が『アメリカン』な状態でした。
『小言念仏』 髪家三代
『野ざらし』 何逸亭やん泥
『病院見学』 駒久家南朝
『月に群雲』 南遊亭栄歌
もう4回目の出演となる栄歌さんをゲストにお招きしましたが、
ご存知の方も多いでしょうが、
栄歌さんは内科医、南朝さんは耳鼻科医です。
そして、三代さんとトムマス(やん泥さん)は、
心臓や脳血管などの、輝かしい病歴を誇るお二人ですので、
前半に出た『患者二人』を、後半に出た『医師二人』が診るという
実に、理にかなった寄席となりました。
客席には、わざわざ遠くから
みえさんや、まきぞうさんが来てくださっていました。
まきぞうさんは、自他共に認める栄歌さんの『相方』ですが、
この日は、車でお見えになっていて、
電車で来られていた栄歌さんを、帰りには送っていかれるとの事でした。
このお二人は、
冗談で『愛人関係』なんて言われたりするくらい仲がよろしいので、
まきぞうさんが栄歌さんを車で送っていかれるという話を聞いて、
「あ~なるほど。じゃあ、『公認の愛人』が送っていかれるわけですね?」
と私がシャレで言うと、まきぞうさんが笑いながら、
「いやいや、『公認』ちゃうし……」
……えっ!?否定するのは、そっち!?
『愛人』を否定するのではなく
『公認』を否定するという事は、
『非公認』ではあるけど『愛人』ではあるんですね?みたいな(笑)
「おい、まきぞう、ええかげんにせえよ!」
慌てて否定する栄歌さんが面白かったです。
豊橋でも、まきぞうさんの『天然パワー』は健在でした(笑)
打ち上げで、三代さんが演られた『小言念仏』の話が出たんですが、
この噺は、延々と木魚を叩きながら小言や愚痴を言っていくという
一風変わったネタですが、面白い噺ではあります。
私もかつて演ってみたいと思っていたんですが、
木魚を叩き続けるリズム感に自信がなかったので断念しました(苦笑)
この中で、小言ばかり言っている主人公のお爺ちゃんが、
「ナムアミダブ…ナムアミダブ……おい、メシが焦げ臭いよ……
ナムアミダブ…ナムアミダブ…メシが焦げ臭いってんだよ……
ナムアミダブ…ナムアミダブ……ウチじゃありません?お隣です?
何言ってんだ、お隣だってメシが焦げていいわけはないだろ。
若夫婦なんだから、教えてやれよ…ナムアミダブ…ナムアミダブ…」
と奥さんに言うくだりがあります。
私は、ここの部分が凄く好きなんですよね。
『口うるさいジジイキャラ』であるはずの主人公が、
この一言によって、『結構優しいお爺ちゃん』である事が判るからです。
この『小言念仏』は人情噺でも何でもありませんが、
こういう『押しつけがましくない優しさ』というのが、
色んな落語の随所に表れる感じというのが、たまらなく好きですね。
そしてそういう事に触れるたびに、
『あ~落語っていいな~』と再認識したりします。
やはり落語は、最高ですね。
微笑亭さん太