音無しくします
十八歳未満の子供がいない世帯の割合は、
1987年には55%だったのが、
最近は74%にもなってるんですね。
つまり4軒に3軒は、子供がいないという事になります。
昔は子供と言えば『子宝』と言って、
誰にとっても宝物だったわけですが、
最近は『子供の声がうるさい』という事で、
ご近所のトラブルになるという事も増えてきているそうですね。
子供が減るという事は、
近隣関係も希薄化する要因にもなりますから悪循環ですよ。
中には、子供が元気すぎると大きな声を出すからというので、
水風呂へ浸けて、わざと熱を出させたりなんかしてね。
『子供は風邪の子』ってのは、ここから始まったそうですけど。
学童保育所や児童館といった、子供が集まる施設では、
厳重な防音対策を講じるというのが、最近の常識になりつつあるようですね。
壁の薄いアパートなんかで、
隣室に子供連れの家族がいたりなんかすると、
うるさいなんて事もありますよね。
ある男性の隣の部屋に、小さな子供が3人もいる夫婦が越してきましてね。
『これはうるさくなるな~』と思ってたら、
予想外に毎日静かなんですね。
不思議に思って、壁に耳をつけて
隣の音を聞いてみようとするんですが、物音ひとつしない。
これはひょっとして、何かあったんじゃないかと思って、
ベランダ越しに身を乗り出して隣の部屋を覗いてみたら、
家族5人が全員、こちら側の壁に耳をつけて
物音を聞こうとしてたって話がありましてね。
音というのは、
隣同士だけじゃなくて、上下にも響きますよね。
土曜日の夜になると、必ず上の部屋で麻雀が始まって、
そのジャラジャラという音が下の部屋に響いて
うるさくてかなわないなんて部屋がありましてね。
ですから、抗議の意味を込めて、
天井をほうきの柄でドンドンつっついたりするんですね。
「おい、麻雀牌の音が下に響いて迷惑かけてるんじゃないか?」
「大丈夫だよ。下の部屋の奴だって、何だかドンドンやってるから、お互い様だよ」
なんてんで、全く通じてなかったりしてね。
微笑亭さん太