どうぞ、夜露死苦お願いします
鬱陶しがられる生き物と言えば、やぶ蚊と暴走族ですよね。
ところが今、暴走族の人数というのは
どんどん減っているそうでして、
第二、第三の嶋大輔さんは生まれにくい状況になってるわけですね。
とは言っても、
全国に1万人以上の暴走族が存在している事は確かですから、
これを何とか減らしていこうと、努力をしているわけですね。
大体この『暴走族』とか『走り屋』なんて呼び方が、
ちょっと格好よくて、若者たちを助長してますよね。
ですから、格好悪い名前に言い換えようじゃないかという事で、
『珍呼運動』なんという、凄い名前の運動が展開されてましてね。
暴走族じゃなくて『珍走団』、
レディースの事を『女珍団』、族車の事を『珍走車』なんてんでね。
確かにトホホな名前ではありますよね。
以前、沖縄県の宜野湾警察署では、
暴走族の新呼称を一般公募しましてね。
最終選考に残った『ゴキブリ族』『よわむし族』を押さえて、
見事『ダサイ族』という名前が選ばれましてね。
何だかアフリカで狩りをして暮らしてる一族みたいですよね。
…それはマサイ族ですけどね。
最近の暴走族の特徴というのは、
ひと団体あたりの人数が少なくなって、
結構年齢の高いメンバーがいたりするって事ですね。
暴走族にまで『少子・高齢化』の波が忍び寄っているわけですよ。
昔のように50人を超えるような団体は皆無で、10人以下の小規模団体ばかり。
しかも、メンバーの半分以上が成人だったりするんですね。
成人どころか、30、40当たり前、
50代の暴走族が検挙されたなんて事もありましたが、
その年で頑張ってると、ちょっとだけ応援したくもなっちゃいますよね。
このまま暴走族の高齢化が続くと、
かなり平均年齢の高い、お年寄りの団体が登場してくるでしょうね。
暴走族じゃなくて、『老走族』なんてんでね。
よく暴走族の連中が特攻服なんて着てたりしますが、
老走族の場合は、本物の特攻隊上がりの方がいたりするんですね。
特攻服に書かれている文字も
『夜露死苦』とか『愛羅武勇(アイラブユー)』じゃなくて、
『浄土真宗』とか『毎日香』なんて書かれてましてね。
よく暴走族のトップの事を『総長』なんて言いますが、
老走族の場合は、集まるのが『早朝』だったりするんですね。
全員朝が早いもんですから。
バイクも当然改造してますから、
竹槍マフラーの先には点滴が取り付けられ、
車体には血圧計と万歩計が取り付けられてるんですね。
バットや鉄パイプの代わりに、
ゲートボールのスティックを積み込んで出発するんですが、
みんなトイレが近いもんですから、20分に1回はトイレ休憩がありましてね。
『おむつ交換してくるんで、ヨロシク!』
…中にはちびっちゃう人もいるわけですよ。
粋なメンバーは、走ってる途中で
『暴走や兵(つはもの)どもが夢の跡…友蔵、心の俳句』
なんて一句読んだりしてね。
ただ残念な事に、全員がクスリに手を出してるんですね。
血圧の薬だったり、狭心症の薬だったり、関節痛の薬だったり…
薬漬けの毎日を送っているという、
そんな楽しい団体も登場してくるんじゃないでしょうかね。
微笑亭さん太