自然こそが教師
日本国民がまるで呪文のように
『節電』という言葉を唱える感じになりそうですね。
その影響は人間ばかりじゃないようで、
あまりにも節電が叫ばれるので、ホタルが光源を
LED電球に替えたそうですけどね。
電力に限らず、エネルギーが
どんどん危機的状況になっているというのは、
地球規模の問題ですよね。
資源の枯渇、生物多様性の劣化、急激な人口増大、
地球温暖化といった事がこのペースで進んでいくと、
既に2030年には、かなり厳しい状況が来るとの予想もあります。
世界の終焉というのは、予定表に書き込めるくらい、
すぐそこに来ているのかもしれませんね。
そんな中、自然界に存在し、
暮らしを変えるためのヒントを利用する
『ネイチャー・テクノロジー』なんて言葉が注目を集めてましてね。
これは元々自然界にある力だとか、
動物や昆虫なんかの能力を模倣する事により、
人間の生活に役立てようという考え方で、
低環境負荷である事からエコへの近道とされるんですね。
研究段階にある物も多いんですが、
例えば『ジャイアントケルプ』という世界最大の海藻が、
海中をゆらゆら揺れる姿から、
『バイオウェーブ』という波力発電装置が研究中なんですね。
これが完成して東尋坊あたりに設置すれば、
飛び込んだ自殺死体が波間にゆらゆら揺れるたびに、
電気が作られていくという事になるかもしれませんよね。
それから、あまり好かれる生き物ではありませんが
『シロアリの巣』なんてのも真似すべき点があるんですね。
高層ビルのように土を高く積み上げて作られた
シロアリの巣は非常に優れもので、
昼は50度、夜は〇度になるサバンナ地帯にあっても、
巣の中は常に30度前後に保たれているんですね。
これはてっぺんに煙突状の穴を開け、
土壁には無数の隙間を作る事によって
温度調節ができる構造になっているからなんですね。
実際、アフリカのジンバブエの首都、
ハラレにあるショッピングセンターはシロアリの巣を模倣し、
煙突や壁の隙間を作り、
温度を自動的に調整するシステムになってるんですね。
日本だと、シロアリが出るとすぐに
業者を呼んで駆除してしまいますけど、
あれ放っておいたら、やがて我が家が温度調節のできる
エコハウスになるに違いありませんね。
今年はオリンピックイヤーですけど、2000年のシドニー五輪の時に、
表面がサメ肌状になった水着を着た選手が、
金メダルを量産したなんて事がありました。
これは獲物を狙う時に驚異的なスピードを出す
サメの能力を模倣したわけですが、今はタコの能力を模倣した
バスケットシューズがあるようですね。
これは靴底に複雑な模様の溝が幾つもあり、
踏むとその間の空気が押し出され、
まるでタコの吸盤のように床に吸い付くようになってるんですね。
これはいいというので履いてコートに出たら、
吸い付きすぎて一歩も動けなかったりしてね…
このシューズを履いた選手は、
やたらとコートの四隅をホウキで掃除しちゃうんだそうですね。
やはりタコの能力を模倣したため、
『スミをはきたがる』んでしょうね。
微笑亭さん太