鍵のかかってない部屋
先週の蒲郡の会に続いて、2週連続での寄席です。
先週の蒲郡の会よりも、
予約された方が多いというのは聞いてはいましたが、
150名以上の方々がお見えになったのには驚きました。
会場が銀行内ですので、簡単に出入りが許されません。
私が会場に着いた時、たまたま知っている職員の方がいらっしゃったので、
その方に鍵を開けてもらい、中に入れていただきました。
中に入ると、この寄席を仕切ってらっしゃる
夢見亭初音さんにバッタリお会いしました。
「あれ?さん太、どうやって入ったの?」
「あ、偶然お会いした職員の方に入れていただきました」
「え?」
「職員の方に入れていただきました」
「えっ、『泥棒』に入れてもらった?」
全然、違~~~~~~う!!!
『職員』と『泥棒』、どこも合ってません(笑)
聞き違える事自体が奇跡です。
いきなりの『初音劇場開幕』に、強烈なボディーブローをくらいました。
「初音さん、凄い聞き違いされますね~」
「そうなのよ。さっきもね、受付の女の子に
『支店長いますか?』って聞いたら『寝てます』って言うのよ。
『あら、仕事中にお昼寝なんて、いいわね~』って言ったら、
『いえ、用事で外出中ですが』………どうやら私、
【寝てます】と【出てます】を聞き違えちゃったらしいのね」
……私は膝から崩れ落ち、完全にノックアウトされました。
やはり『天災芸人』には勝てない事が、改めて立証されました。
『地球最後の日』(さん太・作) 微笑亭さん太
『漫才』 減滅渡&和音
『井戸の茶碗』 微笑亭さん太
落語を聞くためだけに来られたお客さんだけあって、
大変よく笑ってくださったんですが、
特に漫才は、よくウケてましたね。
ヘル&ワインのお二人、稽古が大変だったと思いますが、ご苦労様でした。
漫才の後、トリネタで『井戸の茶碗』を演っていたんですが、
もうあと2、3分でサゲになるというところで、
前の方に座っていたお婆ちゃんが、扉に向かって移動を始めました。
昨日の会場は、扉が部屋の真横にあったもんですから、
高座のすぐ上手側の扉から出ようとされたんですね。
トイレなのか、帰ろうとなさったのかは判りませんが、
扉を開けようとしても開かないんですね。
ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ………
いい感じで会場に響き渡る、ドアノブの音。
いい加減あきらめてくれるとか、
後ろの方の扉に移動してくれるとか、
色々手はあろうかと思うんですが、
なおも前部扉にこだわり続けるお婆ちゃん。
客席の視線を釘付けです。
「…以前より母上から、早く身を固めろと言われておる」
「ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ…」
「千代田殿の娘御ならば…」
「ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ…」
「間違いはあるまい」
「ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ…」
「妻にもらうとするか」
「ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ……」
誰か止めてください!(笑)
さすがにサゲ直前では、イジる事もできず、
コントのような状況が続く中、
結局、お婆ちゃんが移動する事もなくサゲを迎える事となりました。
『井戸の茶碗』というより、
『移動の茶番』みたいな結末を迎えました。
微笑亭さん太