存在は濃い方
本来ですと『3名で3席』というのが基本の寄席ですが、
この日は河太朗さんと私の2人だけでしたので、
2人会という事で、2席づつの4席となりました。

『やかんなめ』 微笑亭さん太
『江戸荒物』 川の家河太朗
『かりそめ旦那』(微笑亭さん太・作) 微笑亭さん太
仲入り
『口入屋』 川の家河太朗
末広亭の楽屋は、
高座奥の作業場のような所をお借りしているんですが、
開演前にスタンバっていると、
怪訝そうな表情の年配の御婦人が訪ねて来られました。

「あの…今日はここで、彫金の教室が開かれる事になってるはずなんですが」
「……えっ?」
寄席のある日は当然、他の行事はないわけなんですが、
どうやらどこかに勘違いがあったようで、
判りやすい『ダブルブッキング』になってしまったようです。
「今日は寄席なものですから…」
「そうですか…おかしいですね…何でこんな事になっちゃったんでしょうか…」
戸惑う御婦人。
まさかすぐ隣にある寄席の楽屋で、
同時進行の彫金教室をやるわけにもいきませんから、
寄席スタッフの方が一生懸命事情を説明してくれてました。
その間にも、続々集まってくる
『寄席の楽屋で彫金を楽しむ会(仮称)』の皆さん。
非常に申し訳なかったんですが、
お引き取りをいただきました(ごめんなさい)
コーラスグループのダブルブッキングを扱った志の輔師の創作落語、
『歓喜の歌』に出てくるお役人の気持ちが、少し判った気がしました。
寄席の方は50名のお客さんがお越しになり超満員。
ウケもよく、大変良い会になりました。

開演前、受付の所で年配の男性が、
「今日はあの人は出てないの?」
「誰ですか?」
「頭の薄い人!」
…寄席に出ていなくても、やはり〇眠さんは『主役』ですね。
しかもそのお尋ねになった男性の方が、
無〇さんより頭が薄かったという事は、ご報告しておきます。
微笑亭さん太