アート驚く交番
秋と言えば『芸術の秋』なんて事を言いまして、
やたらと『アートだ、アートだ』と言う方もいらっしゃいます。
ちょっと絵を描くと『アートだ』、
ちょっと彫刻の真似事をすると『アートだ』、
ちょっと引越し業者を頼むと『アートだ』なんてんで、
何でもアートにしてしまうんですね。
交番というと、街の安全を守るため、あちこちにあるわけですが、
東京都内には、まるで芸術作品のような交番が沢山あるんですね。
1980年~90年代にかけて建てられた
『デザイン交番』と呼ばれる数多くの交番は、
現在のスター建築家たちが、無名の頃に手がけた作品が幾つもあるんですね。
これは東京都が、公共施設のランドマーク化を目指して
1981年にスタートした、『文化のデザイン事業』の一環で建てられたものでして、
その第一号である数寄屋橋交番が完成してから30年が経ち、
今また国内外の注目を集めているようなんですね。
何しろ通常の2倍の予算をかけ、世界的に活躍されている、
団紀彦さん、北川原温さんといった、
日本建築界の重鎮が設計者に名を連ねてるといいますから、
良いものは時代を経ても色褪せないという事なんでしょうかね。
1985年に建てられた渋谷署宇田川交番は、
『ポストモダンの旗手』として注目された
鈴木エドワードさんって方が設計されたんですが、
見た目は完全に『ロボットの顔』ですからね。
お巡りさんがスイッチを押したら、
変形してモビルスーツになるんじゃないかと思うんですが、
やはりインパクトは絶大なんですね。
一見してパトカーとは判らない『覆面パトカー』というのがありますよね。
一般車に紛れ込んでいるために気付かずに、
覆面パトカーを猛スピードで抜き去って、切符を切られた方もあるでしょう。
それに倣って『覆面交番』なんてのが出てくるかもしれませんね。
見た目は一般住宅街にある、ごく普通の民家なんですけど、
実はそれが交番だったりするんですね。
「あら、山本さん、随分とティッシュの箱を抱えてるわね」
「そうなのよ、高橋さん。角のスーパーでティッシュの安売りしてて、
『一人二箱まで』って言われてたんだけど、
ウソついて3回も並んじゃって、こんなに買ってきたのよ~」
「ウソついて3回も?…山本美佐子さん、あなたを虚偽申告の容疑で逮捕します」
「え~っ!?た、高橋さん、あなた警察官だったの?」
ふと見ると、『高橋』という表札が裏返って
桜の代紋が出現したりするわけですね。これは騙されちゃいますよ。
「ねえ、聞いた?高橋さんのお宅、覆面交番だったんですって」
「ええっ、そうなの!?」
「うん、私たちの違法行為を密かに監視してたのね~。
私、今夜の夕食のおかずがトンカツだって知られなくてよかったわ~」
「何で?」
「逮捕されるからに決まってるじゃないの、『今日カツ罪』で」
「そんなわけないでしょう。それだったら、私だって台所のゴキブリに、
ゴキジェットかけてるとこ見られたら逮捕されちゃうわよ…『殺虫罪』で」
「何言ってるのよ。だけど高橋さんって、
腰が低くて控えめで、とてもそうは見えなかったわね」
「やっぱり、警察官だから謙虚(検挙)な人なのね~」
なんてんで、こんな交番も出てくるかもしれませんね。
微笑亭さん太