脳、狂言か?
タイトルに『脳』が付く本は、
この5年間で3000冊以上出版されているそうです。
ただその内容に関しては、研究結果を拡大解釈した俗説も多く、
信憑性には疑問が持たれていますね。
そういった、脳に関する眉唾ものの話を『脳科学神話』などと呼んで、
専門化たちは警鐘を鳴らしているようですね。
一時、『脳トレ』の凄いブームがきましたが、
あの『脳トレ』は、科学的な裏付けが全くないそうですし、
3歳までに豊かで多様な刺激を与えた方が頭が良くなるという
『三歳児神話』というのも、
猫やネズミの動物実験のデータを人間に当てはめたもので、
科学的根拠はないそうですね。
そんな脳科学神話の有名なものの一つに、
『右脳型と左脳型』というのがありまして、
芸術的な事が得意な右脳型と、
論理的な事が得意な左脳型の人間がいると言われてきたんですね。
しかし実際は、脳の片方だけが活動するという事はあまりなく、
ほとんどの場合、左右両方の脳が同時に活動するわけですから、
そういう単純な区分けはできないそうですね。
中には見た瞬間、どちらのタイプか判る方もいますよね。
メガネかけて神経質そうで、
論理的に物事を考えそうな『冬彦さん』だな~と思ったら
『左脳(佐野)史郎さん』だったり、
いつも美川さんと一緒にいる奔放な芸術家タイプだな~と思ったら、
『神田右脳(うの)さん』だったりなんかしてね。
凶悪な少年犯罪が起きると
必ずといっていいほど取沙汰されるのが、
『ゲーム脳』というやつでしてね。
『テレビゲームばかりやっている子供は、キレやすくなる』というものですが、
単なる脳波のデータを拡大解釈していて、
これこそ『脳科学神話』の最たるもののようです。
「ゲーム脳?ゲームばかりやってると、キレやすくなったり犯罪に走る?
冗談じゃないよ、俺はね、ゲームだけが取り柄なんだから」
…こういう人の事は『ゲーム無能』というそうですけどね。
犯罪が起きた時、
その犯人の部屋を調べてゲームソフトが出てくると
『犯罪の原因はゲーム』みたく言われてしまいがちですが、
ゲームソフトなんて物凄い数が出回ってるわけですから、
それが原因というのは偏見じゃないかと思いますよね。
それが証拠に、犯人の部屋から
落語のDVDが出てきても、一切無視でしょうからね。
こうした神話が生まれるようになったのは、1990年代以降でして、
ちょうど『脳の画像』が手軽に手に入るようになってからなんですね。
脳の画像を見せると、
一挙に信憑性が増すという効果があるんですね。
実際、ウソの話も脳の画像と一緒に説明すると
信じる人が増えるというデータもあるそうですから、
『高級羽毛布団』を売る時には是非、
脳の画像を用意しておく事をお勧めしますね。
微笑亭さん太