命日と誕生日
残念の一言です。
かつて『四天王』と呼ばれた中では、
志ん朝師に続いて、私は円楽師が好きでした。
四天王が、私の好きな順番に鬼籍に入ってしまうとは悲しいですね。
…ちなみに私、三番目には談志師が好きなんですが…
『短命』や『町内の若い衆』『浜野矩随』といった噺は、
円楽師のテープで覚えました。
全盛期の師の高座は、笑いの多い、とても良い高座でした。
あの頃の円楽師を、もう一度聴きたかったですね。
円楽師は、人情噺での『泣き芸』が有名でした。
クライマックスの感極まった場面で、実際涙を流す、
これには賛否両論ありました。
というのも、
一人で複数の人間を演じなければならない、落語という芸の性格上、
登場人物になりきりすぎると、戻ってこられなくなるんですね。
そのあたりが、お芝居と違うところでもあるわけですが。
私的には、師の『泣き芸』は嫌いではありませんでした。
師の『泣き芸』で、何度も感動して泣きました。
学生時代は、
『ああいう感じで客席を感動させて、お客さんを泣かせてみたい』
そう思ってました。
そのために一生懸命、落語を稽古しました。
その甲斐あって、やがて高座に上がるたびに、
「面白くないから、もう勘弁してくれ~」と、
お客さんが泣いてくれるようになりました。
プロセスはともかく、『泣く』という結果は同じ事です。
そんな私も、実は今日が誕生日です。
『さん太』なのに、クリスマスじゃなくて、
ハロウィンに生まれちゃいました。
もう誕生日がめでたい年ではないんですが、
落語の世界というのはありがたい事に、
私ぐらいだと、まだ『若手』に入ったりするんですね。
『若手芸人、さん太』、これからも頑張ります!
微笑亭さん太